性犯罪
性犯罪の容疑で逮捕された場合、その時点ではあくまでも「疑い」の段階です。日本の刑事司法制度では「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があり、有罪と確定するまでは無罪と推定されます。
しかし性犯罪事件では、逮捕された時点で社会的な制裁を受けてしまうことも少なくありません。だからこそ証拠に基づいた慎重な判断と、適切な弁護活動が不可欠なのです。
弁護人の役割は真実を明らかにし、依頼者の正当な権利を守ることです。時にそれは無実の主張であり、時に情状の酌量を求めることもあります。どちらの場合でも、豊富な経験を持つ刑事弁護の専門家による支援が、事態の適切な解決には欠かせません。
このページでは性犯罪で逮捕された場合の対応から、当事務所の対応方針について、詳しくご説明します。
性犯罪の種類とその罪に課せられる刑罰
性犯罪の容疑には様々な種類があり、それぞれに法定刑が定められています。ただしここで重要なのは、これらの罪名で起訴されたとしても必ずしも有罪となるわけではない点です。
不同意性交等罪(刑法第177条)
2023年7月13日に施行された刑法改正により新設されました。不同意性交等罪とは被害者が性的行為に対して同意する意思を形成、表明、または貫徹することが困難な状況下で性的行為を行う犯罪を指します。
不同意性交等罪は、以下の3つの主要な構成要件があります。
- 「同意しない意思を形成し、表明し、若しくは全うすることが困難な状態」で性交等を行う
- わいせつな行為ではないと誤信させたり、人違いをさせて性交等を行う
- 16歳未満の者、または13歳以上16歳未満で加害者が5歳以上年長である場合に性交等を行う
しかし暴行・脅迫の程度や、被害者の同意の有無など、慎重に検討すべき要素が数多くあります。えん罪を防ぐためにも、証拠の精査と適切な弁護活動が極めて重要です。
不同意わいせつ罪(刑法第176条)
不同意わいせつ罪も2023年7月13日に施行された刑法改正により新設された犯罪類型で、被害者が同意しない意思の形成や表明、または全うすることが困難な状態で行われるわいせつな行為を処罰するものです。
この罪名でも行為の態様や暴行・脅迫の程度、被害者の供述の信用性など、検討すべき要素は多岐にわたります。
公然わいせつ罪(刑法第174条)
不特定または多数の人が認識できる可能性がある状態で故意にわいせつな行為をしたとされる場合に問われる罪です。6月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、またはその併科とされています。
目撃証言や防犯カメラの映像など、証拠の確実性を慎重に吟味する必要があります。
児童買春・児童ポルノ法違反
18歳未満の児童を対象とした買春やポルノに関する罪です。児童買春は5年以下の懲役または300万円以下の罰金、児童ポルノは3年以下の懲役とされています。
年齢確認の有無や故意の立証など、法的な争点は数多く存在します。
盗撮・痴漢(各都道府県の迷惑防止条例)
各都道府県の条例により処罰される行為です。特に痴漢事件では混雑した車内での出来事という特性上、えん罪の可能性も否定できません。目撃証言や防犯カメラ映像など、客観的証拠の有無を慎重に確認する必要があります。
青少年保護育成条例違反
18歳未満の児童に対するわいせつ行為を禁じた条例違反です。都道府県によって法定刑は異なりますが、年齢確認の有無や故意の立証など、法的な争点は少なくありません。
性犯罪で逮捕された後の流れ
性犯罪で逮捕された後の流れは、主に以下の3つの段階に分かれます。各段階において、弁護人の役割は極めて重要です。
1.警察での取り調べ
逮捕後まず行われるのが、警察による取り調べです。この段階での対応が、その後の事件の展開を大きく左右する可能性があります。
ここで重要なのは、黙秘権の行使です。憲法で保障された権利として、被疑者には取り調べに対して黙秘する権利があります。「話せば分かってもらえる」と考えて、安易に供述してしまうのは危険です。
特に性犯罪の場合、取り調べの際の発言が後の公判で不利な証拠として使われる可能性があります。弁護士と相談の上、どのように対応するかを慎重に判断する必要があります。
取り調べと並行して、警察は裁判所に逮捕状の請求を行います。逮捕状が発布されれば、最大72時間の身柄拘束が可能になります。さらに検察官の請求により、10日間勾留され、さらに1回の勾留延長がなされることがあります。そうなれば、最長23日間の身柄拘束を受けることになります。
身柄拘束中は外部との接触が制限されるため、この間の弁護活動が極めて重要となります。弁護士に早期に依頼していれば、接見を通じて適切なアドバイスを受けられるほか、勾留に対する準抗告(不服申立て)などの手続にも対応してもらえます。
2.検察官による処分の決定
警察での捜査を経て、事件は検察官に送致されます。検察官は証拠を精査した上で、起訴するか不起訴とするかを判断します。
起訴処分となれば裁判へと進むことになりますが、不起訴処分となれば前科がつかずに事件を終えられます。
ここで弁護士の力量が問われるのが、事件を見通す力です。黙秘を貫くのか、供述はするが供述調書への署名押印を拒否するのかなど、捜査の先を見通してベストな判断をする必要があります。認め事件であれば、重要となるのは示談交渉です。被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を勝ち取るチャンスが広がります。否認事件であっても、事案によっては示談成立させることで不起訴処分を得ることも可能です。性犯罪において示談は強力な意味を持ちますので、示談交渉に強みをもつ刑事事件専門の弁護士への依頼がおすすめです。
3.起訴後の裁判手続き
検察官により起訴されると、刑事裁判が開始されます。被告人としての防御権を十分に行使するためにも、この段階での弁護士の役割は極めて大きなものとなります。
特に性犯罪事件では下記のような、様々な観点からの防御活動が必要となります。
- 被害者の供述の信用性の吟味
- 物証との整合性の検証
- 目撃証言の信頼性の検討
- 捜査手続の適法性の確認
無罪を主張する場合は検察側の立証の不十分さを指摘し、合理的な疑いを超える証明がなされていないことを明らかにしていきます。
性犯罪事件での弁護士の選び方
性犯罪事件で弁護士を選ぶ際は、以下の4つのポイントが重要となります。
- 性犯罪事件の取り扱い実績
- 被害者への配慮と誠実な対応
- 依頼者に寄り添う姿勢
- 24時間365日の迅速な対応
1.性犯罪事件の取り扱い実績
刑事事件、特に性犯罪事件における専門的な知識と経験は、弁護活動の成否を大きく左右します。弁護士選びでは、単なる取扱件数だけでなく、具体的な解決実績に注目することが重要です。
無罪判決や不起訴処分の獲得実績、証拠の収集・分析能力、目撃者からの適切な事情聴取能力など、専門的な知識と技術を持っているかどうかを見極める必要があります。性犯罪事件では特に、物的証拠が少なく供述証拠が重要となるケースが多いため、幅広い弁護士業務の中でも刑事事件に特化した、専門の弁護士への依頼がおすすめです。
2.被害者への配慮と誠実な対応
性犯罪事件では、被害者の心情への配慮が極めて重要です。ただし、これは単に被害者の主張を受け入れることではありません。被害者の供述の信用性を適切に評価しつつ、必要に応じて示談交渉を円滑に進められる交渉力が求められます。
重要なのは被害者の心情に配慮しながらも、依頼者の正当な権利を守る姿勢を持ち、事案の真相を明らかにしようとする真摯な態度です。このバランスを保てる弁護士であることが、適切な弁護活動には欠かせません。
3.依頼者に寄り添う姿勢
性犯罪の容疑で逮捕された場合、精神的な負担は計り知れません。このような状況で、依頼者の話に真摯に耳を傾け、法的な観点から的確なアドバイスができる存在が必要です。
特に重要なのは依頼者の言い分を十分に聞き、その主張が合理的なものである場合には、断固として無罪を主張する技術をもった弁護士であることです。また事件の見通しについて明確に説明し、家族へのケアも含めた包括的なサポートができる弁護士を選ぶことが望ましいでしょう。
4.24時間365日の迅速な対応
性犯罪事件では、逮捕直後からの迅速な対応が極めて重要です。24時間体制での電話対応や、緊急時の即時接見対応が可能な体制が整っているかどうかは、弁護士選びの重要な判断材料となります。
性犯罪は弁護士への早期相談が重要
性犯罪の容疑をかけられた場合、まず重要なのは冷静さを保ち、慌てて供述してしまわないことです。たとえ事実関係を否認する場合でも、感情的な対応は避け、専門家の助言を得た上で、適切に対応することが必要です。
捜査段階での対応が、その後の事件の展開を大きく左右します。特に逮捕直後の72時間は極めて重要な時期となります。
- 黙秘権を行使するか否かの判断
- 示談交渉をするか否かの判断
- 証拠の収集・保全
- アリバイの立証
- 目撃者への接触
これらの対応は、経験豊富な弁護士の助言なしには適切に行うことが困難です。
私たちJIN国際刑事法律事務所は、性犯罪事件における豊富な弁護経験を持っています。無罪を勝ち取るべき事案では断固として無罪を主張し、情状酌量を求めるべき事案では最大限の減軽を目指します。
以下のような状況でお悩みの方は、一刻も早くご相談ください。
- 性犯罪の容疑をかけられている
- 警察から事情聴取を求められている
- 逮捕された家族の今後が不安
- えん罪を主張したい
- 証拠の不当収集について相談したい
性犯罪に当てはまるもの
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同意なくわいせつ行為をした(不同意性交罪)
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痴漢をした(迷惑防止条例違反など)
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盗撮をした(迷惑防止条例違反)
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援助交際、児童買春をした(児童ポルノ禁止法など)
性犯罪の弁護ならJIN国際刑事法律事務所にお任せください
性犯罪に関する法律が改正され、近年性犯罪は厳罰化が進んでいます。かつては性犯罪として逮捕されることがなかった案件でも、いまでは容易に逮捕されてしまいます。捜査当初の弁護活動が非常に重要な類型です。警察から連絡があったらすぐにご相談ください。
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刑事事件専門事務所ならではの圧倒的な経験値とノウハウ
当事務所は、刑事事件のみを扱う日本でも数少ない刑事事件専門法律事務所です。 刑事事件に特化した法律事務所だからこそ、数々の案件で実績を積み上げ、ノウハウ・スキルを磨き上げ続けることができます。 私たちは、「刑事事件のプロフェッショナル」として、100%依頼者のために弁護をします。
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痴漢事件や不同意性交・特殊案件にも対応
スピードは、刑事弁護の命です。 弁護人による迅速な捜査対応は最終的な結果に大きな影響を与えます。 ご連絡をいただいたら、すぐに接見にいき、その時点での最善のアドバイスをお伝えします。
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痴漢事件や不同意性交・特殊案件にも対応
当事務所では盗撮、痴漢、不同意性交、性依存など、多岐にわたる事件を扱ってきました。 盗撮や痴漢をしてしまった(または疑いをかけられてしまった)方、性行為に同意したと思っていたのに訴えられてしまった方、性犯罪がやめられずに悩む方、どんな案件でも、まずはお電話でご相談ください。
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不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は、何が改正前と変わったのですか?
- 2023年7月13日の刑法改正により、不同意わいせつ罪と不同意性交等罪が新設されました。この改正により、従来は処罰が難しかったグレーゾーンの行為も処罰対象となる可能性が高くなりました。また、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられ、16歳未満の者との性的行為は、同意の有無にかかわらず原則として犯罪となります
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同意があったのに不同意わいせつだとして被害届を出されました。
- 不同意わいせつ罪として被害届を出された場合、女性の供述以外に証拠がないことが多いです。そのため、警察が積極的に被害届を受理することはありませんが、受理された場合は、示談交渉によって不起訴処分を目指すことが重要になります。
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示談金の額は、いくらが妥当ですか。
- 一般論として、加害者の責任の重さに比例して示談金も高くなりますが、決まった基準はありません。 示談の金額や支払方法は、被害の大きさや加害者側の支払い能力などの個別事情をもとにしながらも、結局は、被害者が納得できるかどうかが一番大事です。示談交渉や示談金額を専門家に具体的に相談したい場合は、経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。
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痴漢に間違われた場合、どうしたらいいですか?
- 痴漢に間違われた場合は、冷静に否認し、その場から逃げないことが重要です。会話を録音し、周囲の目撃者の連絡先を聞き、手を上げて何も触らない状態を維持します。駅員や警察に協力しつつ、早急に弁護士を呼んで対応を依頼することが賢明です。無実を証明するための証拠保全に努めましょう。
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相手が16歳未満と知らなかった場合も罪に問われますか?
- 16歳未満の者との性的行為は、同意の有無にかかわらず原則として犯罪となります。しかし、相手が16歳未満と知らなかった場合には、故意がないことから犯罪が成立しない可能性がありますので、そのことを裏付ける弁護活動が必要です。
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