交通犯罪

交通違反で警察から取り調べを受けたり、逮捕されたりした場合、まず考えなければならないのは、「本当に違反をしたのか」という点です。見た目は単純な交通違反であっても、実際には複雑な事実認定が必要なケースや、捜査機関の判断に誤りがあるケースも少なくありません。

また仮に違反の事実があったとしても、それが刑事罰に値するものなのか、行政処分で十分なものなのかは、慎重に検討される必要があります。本ページでは、交通違反事件における弁護士の役割や当事務所の対応方針について、詳しくご説明します。


交通違反にはどんな罰則がある?

交通違反の罰則は、違反の種類や状況によって大きく異なります。代表的な違反行為とそれに対する罰則の一覧表を確認しておきましょう。


違反行為

罰則

飲酒運転

5年以下の懲役または100万円以下の罰金

酒気帯び運転

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

無免許運転

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

救護義務違反(ひき逃げ)

救護措置義務違反(死傷が運転者の運転に起因):10年以下の懲役または100万円以下の罰金

その他の救護措置義務違反:5年以下の懲役または50万円以下の罰金

信号無視

3月以下の懲役または5万円以下の罰金

一時不停止

3月以下の懲役または5万円以下の罰金

速度超過

一般道路で時速30km以上、高速道路で時速40km以上の超過で、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金

上記はごく一部の例ですが、交通違反には、反則金で済む軽微なものから、前科として残る罰金刑まで、幅広い処分があります。

安易に考えると大きな問題に発展する可能性があるため、悩んだ際はまず、弁護士に相談しましょう。


交通違反をした際の流れ

交通違反の容疑をかけられた場合、最初に行われるのは警察官による違反の指摘です。この段階で重要なのは安易に違反事実を認めたり、詳しい供述をしたりしないことです。「黙秘権」は憲法で保障された重要な権利であり、その行使は正当な防御権の一部です。

一般的な交通違反事件の流れは以下のようになります。

  • 警察官による違反の指摘・確認
  • 事情聴取・取り調べ
  • 反則金による行政処分、または刑事事件としての立件
  • 刑事事件の場合は、不起訴処分か起訴・裁判へ

交通違反で弁護士に相談するべきケース

それでは具体的にどのようなケースで弁護士に相談するべきなのでしょうか。交通違反で弁護士に相談するべきケースは次の4つです。

  1. 前科が付く可能性がある場合

  2. 免許取り消しや欠格期間の設定の可能性がある場合

  3. 執行猶予中に交通違反をした場合

  4. 事故を起こしてしまい、刑事責任を問われる可能性がある場合


1. 前科が付く可能性がある場合

刑事事件として立件された交通事案では、有罪判決が確定すると前科として記録が残ります。しかし「前科が付く可能性がある」からといって、安易に違反事実を認める必要はありません。

弁護士は依頼を受けた際、まず事案の本質的な問題点を見極めます。例えばスピード違反の場合、速度測定器の精度や使用方法が適切だったか、測定条件は正確だったかなど、様々な観点から事実関係を精査します。

また仮に違反があったとしても、それが刑事罰に値する程度のものなのか、行政処分で十分ではないのかといった点も検討します。


2. 免許取り消しや欠格期間の設定の可能性がある場合

運転免許の取り消しや欠格期間の設定は、職業生活に重大な影響を及ぼす可能性があります。特にタクシーやトラックの運転手など、運転免許が仕事の前提となっている方にとって、免許の取り消しは死活問題となりかねません。

こうした行政処分の前提となる違反事実についても、その認定の適切性を慎重に検討する必要があります。弁護士は行政手続の適法性を確認し、必要に応じて聴聞手続や行政不服申立て、行政訴訟など、様々な法的手段を活用して依頼者の権利を守ります。


3. 執行猶予中に交通違反をした場合

執行猶予中の身で新たな交通違反の容疑をかけられた場合、その影響は極めて深刻です。なぜなら新たな違反が認定されることで執行猶予が取り消され、実刑となるリスクがあるためです。

このような場合、弁護士はまず新たな容疑の内容を徹底的に精査します。例えば、スピード違反の容疑であれば、測定機器の精度や測定状況、天候や道路状況など、あらゆる観点から事実関係を確認します。時には専門家と連携をして捜査の問題点を解明します。また目撃証言がある場合は、その信用性や具体的な目撃状況なども詳しく検討します。


4. 事故を起こしてしまい、刑事責任を問われる可能性がある場合

交通事故は、たとえ軽微なものであっても刑事責任を問われる可能性があります。特に人身事故の場合、業務上過失致死傷罪などの重い罪に問われることもあります。しかし事故が起きたという事実だけで、直ちに刑事責任が生じるわけではありません。

事故の刑事責任を検討する際、弁護士は以下のような観点から慎重な分析を行います。まず、事故の原因となった具体的な過失の存在を確認します。例えば単に「前方不注視だった」という抽象的な過失ではなく、どのような状況でどのような注意義務に違反したのかを具体的に検討します。

またその事故が予見可能で回避可能なものだったのかも重要な論点です。例えば、急な飛び出しによる事故や、道路の整備状況に問題があった場合など、運転者に帰責できない要因が存在する可能性もあります。


交通違反の弁護活動の流れ

交通違反の弁護活動は、事案の内容に応じて様々な形をとります。ただし、いずれの場合も「依頼者の正当な権利を守る」という基本姿勢は変わりません。ここでは弁護活動の具体的な流れについて説明します。


1. 事件内容の確認・方針決定

弁護活動の第一歩は、事件の全容を正確に把握することです。弁護活動において、警察の捜査資料や現場の状況、目撃証言などをできる限り収集し、事実関係を丁寧に確認していきます。

確認した情報を基に事実関係を争うべきか、情状面での主張を中心とするかなど、弁護方針を決定します。例えばスピード違反の場合、速度測定の正確性に疑問がある場合は測定結果の信用性を争う方針とし、違反の事実は認められるものの特殊な事情があった場合は、その事情を丁寧に説明する方針を取ることになります。


2. 示談交渉

事故により被害が発生している場合、示談交渉が重要な弁護活動の一つとなります。ただし、ここで注意すべきは、示談は単なる金銭的な解決ではないということです。

示談が成立することで、刑事処分が軽減される可能性もありますが、あくまでも被害の適切な回復が第一の目的です。


3. 情状立証

違反の事実が認められる場合でも、その情状により刑事処分の内容は大きく変わる可能性があります。そこで重要となるのが情状立証です。

情状立証として、以下のような事項を主張立証します。

  • 違反に至った経緯や動機
  • 反省の程度や更生への意欲
  • 再犯防止に向けた具体的な取り組み

これらの事情を裏付ける証拠のほか、家族や職場の上司からの嘆願書を提出したり、交通安全講習の受講証明を提出したりすることもあります。


4. 公判活動

事件が裁判に進んだ場合、法廷での弁護活動が中心となります。ここでは、それまでの弁護活動で収集した証拠や情報を基に、依頼者に有利な事実を明らかにしていきます。

特に重要なのは、裁判官に対して依頼者の立場や状況を適切に理解してもらうことです。無罪を主張すべき事案では、専門家による意見を法廷に顕出したり、検察官立証の問題点を突いたりして有罪判決を下すべきではないという主張を展開します。認め事件では、3で述べたような情状立証を尽くすことで、より軽い刑罰が得られるように弁護活動を展開していきます。


交通違反に強い弁護士の選び方

交通違反事件の弁護には交通関連法規への深い理解と、証拠評価に対する広い知識が必要です。弁護士選びは、その後の事件の展開を左右する重要な判断となります。以下では、交通事件に強い弁護士を選ぶ際の重要なポイントを解説します。


1. 交通事件の取り扱い実績が豊富な弁護士を選ぶ

交通事件、特に刑事事件としての交通事件を日常的に扱っている弁護士は、法律知識だけでなく、実務上の重要なノウハウを持っています。例えば、スピード違反であれば速度測定器の特性や誤差の可能性、飲酒運転であれば呼気検査の正確性など、技術的な面での知識も重要です。

交通事件の具体的な解決実績を公開している弁護士を選びましょう。


2. 迅速に動ける弁護士を選ぶ

交通事件では初期対応の重要性が特に高いと言えます。逮捕された場合の身柄解放を求める手続きや、事故現場の状況確認、目撃者からの聞き取りなど、時間との勝負になる場面が多くあります。

そのため、依頼者からの連絡に迅速に対応でき、必要な行動を速やかに起こせる弁護士を選ぶことが重要です。24時間365日の緊急対応体制を整えている事務所であれば、いつでも必要な支援を受けることができます。


3. 依頼者の話をしっかり聞いてくれる弁護士を選ぶ

交通事件では事故や違反の状況だけでなく、依頼者の職業や生活状況、家族関係なども、弁護方針を決める上で重要な要素となります。例えば、運転免許が仕事に必要不可欠な場合と、そうでない場合では、取るべき方針が異なってくる可能性があります。

初回相談の際、具体的な状況について詳しく質問してくれる、法的な見通しを分かりやすく説明してくれる弁護士に依頼をしましょう。


交通違反の際は弁護士への早期相談が重要

交通違反で逮捕されたり、事情聴取を受けたりした場合、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。その理由は大きく分けて3つあります。

第一に、初期対応が事件の展開を大きく左右するからです。特に取り調べの際の対応は重要で、供述の仕方によってはその後の弁護活動の選択肢が狭まってしまう可能性があります。弁護士に相談することで、適切な対応方法をアドバイスしてもらうことができます。

第二に、証拠の保全が重要だからです。特に事故事案の場合、時間の経過とともに現場の状況が変化したり、目撃者の記憶が曖昧になったりする可能性があります。早期に弁護士が関与することで、必要な証拠を適切に保全することができます。

  • 事故現場の写真や動画
  • 目撃者の証言
  • 道路状況や信号機の設置状況
  • 天候や視界の状況
  • ドライブレコーダーの映像

第三に、示談交渉のタイミングも重要です。事故により被害が生じている場合、早期に適切な対応を取ることで、被害者との良好な関係を築きやすくなります。ただし、示談交渉は慎重に行う必要があり、弁護士の適切なアドバイスが必要です。

JIN国際刑事法律事務所では24時間365日、緊急の相談に対応しています。事案の内容を精査した上で、無罪を勝ち取る可能性がある場合は徹底的に争い、違反が認められる場合でも、最適な解決方法を見出すべく全力で取り組みます。

交通違反でお困りの際は、決して一人で悩まず、まずはご相談ください。初回相談では、事案の見通しや、考えられる対応方法について、分かりやすく説明させていただきます。

業務概要

Summary

アルコールや運転中の不注意を発端として発生することも多く、身近な犯罪といえる「交通犯罪」。
被害の程度にもよりますが、速やかな示談成立により不起訴を獲得することも十分あり得る犯罪類型です。

交通犯罪に当てはまるもの

  • スピード違反をした
  • 自動車で人や物にぶつかった
  • 危険運転致傷罪
  • 酒気帯び・酒酔い運転

交通犯罪の弁護ならJIN国際刑事法律事務所にお任せください

交通違反は、自動車を運転する人であれば誰でも犯してしまう危険があります。「減点」のような行政罰をイメージする方も多いかもしれませんが、刑事事件として扱われることもあります。単なるスピード違反でも懲役刑が科されることもあります。弁護士とともに捜査対応することをおすすめします。

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JIN国際刑事法律事務所の特長

Forte

  • Point

    刑事事件専門事務所ならではの圧倒的な経験値とノウハウ

    当事務所は、刑事事件のみを扱う日本でも数少ない刑事事件専門法律事務所です。 刑事事件に特化した法律事務所だからこそ、数々の案件で実績を積み上げ、ノウハウ・スキルを磨き上げ続けることができます。 私たちは、「刑事事件のプロフェッショナル」として、100%依頼者のために弁護をします。

  • Point

    交通犯罪は迅速な対応が大切

    スピードは、刑事弁護の命です。弁護人による迅速な捜査対応は最終的な結果に大きな影響を与えます。ご連絡をいただいたら、すぐに接見に行き、その時点での最善のアドバイスをお伝えします。

  • Point

    スピード違反から過失運転致死傷・危険運転致死傷にも対応

    当事務所ではスピード違反から人身事故による過失運転致死傷・危険運転致死傷に至るまで多岐にわたる事件を扱ってきました。 近年は自転車との接触による事故も増えています。交通事故から刑事責任を問われてしまった方、どんな案件でも、まずはお電話でご相談ください。

よくある質問

FAQ

  • 自動車による交通事故の加害者には、どのような刑罰が科されますか。

    事故の態様、結果や事故後の対応などにより様々です。 主な刑罰としては、例えば、危険運転致死傷罪、過失運転致死傷罪、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪、酒酔い運転・酒気帯び運転、最高速度違反、器物損壊罪などがあります。
  • 過失運転致死傷罪ではどのような刑罰が科されますか。

    「過失運転致死傷罪」については、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金と規定されていますが、負傷させた場合で傷害の程度が軽いときは、情状により刑が免除になることがあります。
  • 酒酔い運転・酒気帯び運転ではどのような刑罰が科されますか。

    「酒酔い運転」については、5年以下の懲役または100万円以下の罰金、「酒気帯び運転」については、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。
  • 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪ではどのような刑罰が科されますか。

    事故後にアルコールや薬物による運転であることが発覚することを免れようとする行為については、12年以下の懲役と規定されています。
  • 危険運転致死傷罪ではどのような刑罰が科されますか。

    「危険運転致死傷罪」については、負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役と規定されています(この罪に問われる一部の行為については、負傷させた場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は15年以下の懲役と規定されています。)。
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