薬物で外国人が捕まった場合の弁護士の選び方|解決事例についても

外国人の方の配偶者や家族が薬物事件で疑われている場合や逮捕されてしまった場合、日本の法律や刑事手続きに不慣れなことから、多くの不安や疑問を抱えることでしょう。本記事では、外国人の薬物事件での法的問題や対処法、適切な弁護士の選び方について詳しく解説します。

外国人事件|取扱業務

目次

1. 外国人の場合と日本人の場合での違い

外国人の方が日本国内で犯罪を犯した場合、基本的な刑事手続きは日本人と同様です。しかし、外国人特有の問題もいくつか存在します。

1.1 適用される法律

日本国内で罪を犯した場合、国籍を問わず日本の刑法が適用されます(属地主義)。したがって、外国人であっても日本の法律に基づいて裁かれることになります。

1.2 言語の問題

外国人被疑者・被告人には、通訳を付ける権利が保障されています。取調べや裁判手続きにおいて、母国語または理解できる言語での通訳が提供されます。

1.3 在留資格への影響

外国人の方の場合、刑事手続に加えて在留資格の問題も生じます。有罪判決を受けた場合、在留資格の取り消しや退去強制の可能性があります。

1.4 文化的背景の考慮

外国人被疑者・被告人の出身国の文化や習慣が、事件の背景や動機の理解に重要な場合があります。

2. 逮捕された場合は在留資格を失う?

薬物事件で逮捕されただけでは、直ちに在留資格を失うわけではありません。しかし、有罪判決を受けた場合、在留資格の取り消しや退去強制の可能性が高まります。

2.1 在留資格取り消しの可能性

入管法第22条の4に基づき、以下のような場合に在留資格が取り消される可能性があります:

  1. 在留資格に基づく活動を3か月以上行っていない場合
  2. 偽りその他不正の手段により在留資格を取得した場合
  3. 在留資格に基づく活動を継続して90日以上行わないで在留している場合

薬物事件で逮捕・勾留されることで、上記の条件に該当する可能性があります。

2.2 退去強制事由への該当

入管法第24条に定められた退去強制事由に該当する場合、在留資格の有無にかかわらず退去強制の対象となる可能性があります。特に薬物事犯については、以下の規定が重要になります:

  • 入管法第24条4号チ:麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法などの薬物事犯で有罪判決を受けた者

この規定により、薬物事犯で有罪判決を受けた場合、執行猶予付きであっても退去強制の対象となる可能性が高くなります。

3. 退去強制を避ける方法

薬物事件で逮捕された外国人の方が退去強制を避けるためには、以下のような方法が考えられます。

3.1 不起訴処分を目指す

起訴されなければ有罪判決を受けることはないため、退去強制事由に該当しません。弁護人が捜査段階から積極的に弁護活動を行い、不起訴処分を目指します。

3.2 在留特別許可の取得

退去強制事由に該当しても、入管法第50条に基づく在留特別許可を得られる可能性があります。以下のような要素が考慮されます:

  1. 日本での滞在期間
  2. 家族関係(特に日本人の配偶者や子供の有無)
  3. 日本社会への貢献度
  4. 犯罪の重大性と反省の程度
  5. 本国での生活基盤の有無

3.3 刑事裁判での弁護活動

有罪判決を避けられない場合でも、弁護人は情状酌量の余地を最大限に主張し、できるだけ軽い刑罰を求めます。これにより、在留特別許可の可能性を高めることができます。

3.4 再犯防止・更生プログラムへの参加

薬物依存からの脱却と再犯防止への真摯な取り組みを示すことで、在留特別許可の判断に好影響を与える可能性があります。

4. 外国人の薬物事件での弁護士の選び方

外国人の薬物事件に対応する弁護士を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

4.1 外国人事件の経験

外国人の刑事事件、特に薬物事件の経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。言語や文化の違い、在留資格の問題など、外国人特有の課題に精通している弁護士が望ましいです。

4.2 言語対応能力

被疑者・被告人の母国語または理解できる言語で対応できる弁護士、もしくは適切な通訳を手配できる弁護士を選びましょう。コミュニケーションの正確さは弁護活動の質に直結します。

4.3 迅速な対応力

逮捕直後の初動対応が重要です。24時間体制で対応可能な事務所や、緊急時の連絡体制が整っている弁護士を選びましょう。

4.4 費用の透明性

弁護士費用の内訳や支払い方法について、明確な説明を受けられる弁護士を選びましょう。外国人事件は長期化する可能性もあるため、費用の見通しを立てることが重要です。

5. 弁護を依頼した場合の流れ

外国人の薬物事件で弁護士に依頼した場合、以下のような流れで弁護活動が進められます。

5.1 初回接見 

逮捕直後に弁護士が被疑者と面会し、事情聴取を行います。この際、以下の点に注意が必要です:

  1. 通訳人の確保
  2. 十分な時間の確保(通訳を介するため、通常の2倍以上の時間がかかる)
  3. 在留資格や留学先に関する情報の聴取
  4. 文化や宗教の違いへの配慮

5.2 捜査段階での対応

弁護人は以下のような活動を行います:

  1. 取調べへの立会いや助言
  2. 証拠の収集と分析
  3. 不起訴処分を目指した検察との交渉
  4. 身柄釈放(勾留請求却下や準抗告)の申立て

5.3 公判準備

起訴された場合、以下の準備を行います:

  1. 証拠開示請求と分析
  2. 弁護方針の決定(否認か自白か)
  3. 情状証人の選定と準備
  4. 被告人質問の準備

5.4 公判対応

法廷での弁護活動を行います:

  1. 冒頭陳述
  2. 証人尋問
  3. 被告人質問
  4. 弁論

5.5 判決後の対応 

一般的には判決に応じて以下の対応を行います:

  1. 控訴・上告の検討
  2. 在留特別許可申請の準備
  3. 仮釈放申請のサポート
  4. 出国準備のサポート(退去強制の場合)

6. 薬物濫用で逮捕された外国人の方の解決事例

以下に、薬物事件で逮捕された外国人の方の解決事例をいくつか紹介します。

6.1 事例1:不起訴処分獲得

概要:海外に住む友人からクッキーを購入して取り寄せたら、そのクッキーの中に大麻が含まれていたことで逮捕された事件です。

弁護方針:友人とのメッセージ履歴が残されていたので、それを基に故意がなかったことを主張しました。また、依頼者が日本語を理解できない方だったこともあり、取調べには全て黙秘することにしました。弁護人は、できる限り面会に行き依頼者を励まし続けました。弁護人を介して、友人や家族との連絡も頻繁に取るようにしました。

結果:依頼者は黙秘を貫くことができ、不起訴処分を獲得することができました。

6.2 事例2:不起訴処分獲得

概要:日本に観光にきた外国人の方が、あるテーマパークで、窃盗の疑いで逮捕されたという事件です。ストアで手にした商品を持ち、写真を撮るために外に出たところで「窃盗」を疑われて逮捕されました。日本語を話せず、事情をうまく説明できなかったことから、盗むつもりだったと疑われたようでした。

弁護方針:弁護人は、逮捕直後から依頼を受けました。同行していた友人の話を聞いて証拠化したり、捜査機関に対して当時の防犯カメラ映像の確認を求めました。証拠上、窃盗の故意や不法領得の意思がないことを明らかにしつつ、取調べに対しては黙秘を徹底しました。

結果:通常の勾留期間よりも短い期間で不起訴処分となり、釈放されることになりました。

6.3 事例3:検察官の主張を一部排斥することに成功

概要:六本木での連続強盗事件の犯人であるとして逮捕された事件です(否認)。

弁護方針:弁護人は、依頼者は逮捕後から一貫して暴行や金銭を奪ったことはないと主張し、公訴事実もすべて争いました。

結果:結果として有罪判決が下ってしまいましたが、一部の事件については、因果関係が否定されるなど依頼者に有利な認定を得ることができ、検察官の求刑からは大幅に減刑することができました。

7. 外国人の方の薬物事件はJIN国際刑事法律事務所まで 

外国人の薬物事件は、刑事手続きと入管手続きが複雑に絡み合う難しいケースです。適切な対応を取るためには、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠です。

弊所は、外国人の方の刑事事件、特に薬物事件に豊富な経験を持つ弁護士が在籍しています。以下の特徴があります:

  1. 英語対応
  2. 24時間365日の緊急対応体制
  3. 刑事事件と入管手続きの両方に精通
  4. 国際的なネットワークを活かした情報収集力
  5. 文化的背景を考慮した丁寧な弁護活動

薬物事件で疑われている又は逮捕された外国人の方やその家族の方は、一刻も早く弁護士に相談することをお勧めします。弊所では、初回電話相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

外国人の薬物事件は、本人だけでなく家族の人生も大きく左右する重大な問題です。適切な法的サポートを受けることで、最善の結果を目指すことができます。一人で悩まず、専門家に相談することをお勧めします。

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