未成年が逮捕されない?逮捕された場合の流れや少年法についても

お子様が犯罪に巻き込まれてしまったとき、親御様は大きな不安と戸惑いを感じることでしょう。「未成年だから逮捕されないのでは?」「これからどうなるの?」といった疑問が浮かぶかもしれません。この記事では、未成年者の犯罪に関する重要な情報と、弁護士に相談することの重要性について解説します。

少年事件|取扱業務

目次

1. 少年法の基本理念と未成年者の犯罪

少年法は、未成年者の健全な育成を目的とした法律です。この法律の下では、未成年の犯罪者を単に罰するのではなく、更生と社会復帰を重視しています。なお、「少年」といえば一般的には男子を指しますが、少年法では性別を問わず「少年」と呼ばれています。

1-1. 少年法の適用年齢

少年法は、犯罪時に20歳未満だった者に適用されます。ただし、2022年4月1日以降に起こった事件については、18歳以上は成人として扱われるようになりました。

1-2. 保護主義と科刑主義

少年法は「保護主義」を採用しており、これは「科刑主義」を基本とする成人の刑事司法システムとは異なります。保護主義では、罰よりも教育や更生に重点を置いています。

2. 未成年者の犯罪で逮捕される場合とされない場合

未成年者の犯罪において、逮捕されるかどうかの分岐点は14歳です。

2-1. 14歳以上の場合 

14歳以上の未成年者が犯罪を犯した場合、「犯罪少年」として扱われ、成人と同様に逮捕される可能性があります。ただし、未成年者の場合は更生や社会復帰を重視し、成人と比べて逮捕や勾留がより慎重に判断されます。

2-2. 14歳未満の場合

14歳未満の未成年者が法律に触れる行為をした場合、「触法少年」として扱われます。触法少年は刑事責任を問われず、逮捕や勾留の対象にはなりません。ただし、重大な事件の場合は児童相談所による一時保護などの措置が取られることがあります。

3. 未成年者の逮捕後の流れ 

14歳以上の未成年者が逮捕された場合、以下のような流れで手続きが進みます。

  1. 逮捕(最長48時間)
  2. 送検(検察庁への送致)
  3. 勾留または観護措置(最長20日間)
  4. 家庭裁判所送致
  5. 審判
  6. 処分決定

3-1. 観護措置

未成年者の場合、勾留の代わりに「観護措置」が取られることが多く、観護措置が決定されると、少年鑑別所に収容されます。少年鑑別所では、医学、心理学、教育学などの専門知識を用いて少年の性格や非行の原因を調査し、適切な処遇を判断するための資料を作成します

3-2. 全件送致主義

未成年者の事件は、原則としてすべて家庭裁判所に送致されます。これを「全件送致主義」と呼びます。家庭裁判所では、少年審判が行われ、以下のような処分が決定されます。

  1. 不処分
  2. 保護処分(保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致)
  3. 検察官送致(逆送)
  4. 都道府県知事・児童相談所送致

3-3. 試験観察

家庭裁判所は、直ちに処分を決定することが困難な場合、試験観察を行うことがあります。これは、おおむね3〜4ヶ月の期間、家庭裁判所調査官の観察下に置き、少年の生活態度や環境の変化を見極めるための措置です。試験観察中は、家庭裁判所調査官が少年の行動を観察し、必要に応じて生活指導や環境調整を行います。この期間中の少年の態度や改善状況が、最終的な処分決定に大きく影響します。

3-4. 保護観察

保護観察は、犯罪を犯した非行少年に対して、少年院に収容せずに社会内で更生を図る処分です。この制度は更生保護法に基づいており、対象者の改善更生を社会内で適切に処遇することを目的としています。判断が難しい事案では、「試験観察」という形で一時的に保護観察を実施し、その結果を踏まえて最終的な処分を決定することがあります。

3-5. 少年院送致

少年院は、家庭裁判所の審判で矯正教育が必要と判断された少年を収容する施設です。ここでは、犯罪や非行のある少年の性格を矯正し、社会復帰を目指した教育が行われます。

3-6. 検察官送致(逆送)

特に重大な事件や、少年の性格、年齢などを考慮して刑事処分が相当と判断された場合、検察官送致(逆送)となります。この場合、成人と同様の刑事裁判を受けることになります。2021年の法改正(2022年4月1日施行)により、18歳・19歳の特定少年については、死刑・無期または短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の場合、原則として検察官送致となりました。これは、従来の少年法における取り扱いと比較して、より厳格な対応となっています。

3-7. 児童相談所送致

14歳未満の触法少年の場合、まず児童相談所に通告されます。児童相談所で対応が困難と判断された場合に限り、家庭裁判所に送致されます。

未成年者の逮捕後の流れは複雑で、様々な処遇の可能性があります。ご家族や関係者は、この過程で少年を支援し、少年の更生と社会復帰を最優先に考えながら、再非行防止と健全な成長を促すことが重要になります。

4.少年事件で弁護士に相談するメリット 

少年事件で弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。
  1. 不安の軽減と適切な助言:弁護士は法的な観点から状況を分析し、適切なアドバイスを提供します。
  2. 保護者の負担軽減:弁護士が手続きや対応を支援することで、保護者の精神的・物理的負担を軽減できます。
  3. 少年の権利保護:捜査や審判の全過程を通じて、少年の権利を守ります。
  4. 示談交渉のサポート:必要に応じて、被害者との示談交渉をサポートします。
  5. 不当な取り調べの防止:弁護士が介入することで、威圧的な取り調べなどを防ぐことができます。

別の記事で「国選弁護人と私選弁護人の違い」についても解説しておりますのでご参照下さい。


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刑事事件に特化したJIN国際刑事法律事務所では、専門的な知識と経験を有する刑事弁護士が最善の解決策をご提案します。「無罪判決を勝ち取りたい」「不起訴を獲得したい」「示談を成立させたい」など、どんなお悩みでもまずご相談ください。

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5.少年事件を刑事事件専門の弁護士に依頼するメリット

刑事事件を得意とする弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  1. 専門的な知識と経験:刑事事件、特に少年事件に関する深い知識と豊富な経験を活かした対応が可能です。
  2. 迅速かつ適切な対応:事件の初期段階から先を見通してベストな判断ができるため、より良い結果につながります。
  3. 関係機関との円滑な交渉:警察、検察、家庭裁判所などとの交渉に長けており、効果的なコミュニケーションが可能です。
  4. 少年法に基づいた最適な戦略:解決事例によって培った知見のみではなく、少年法の特性を理解し、少年の更生と社会復帰を最優先した戦略を立てることができます。

6. 弁護を依頼した時の流れ 

弁護士に依頼した場合、以下のような流れで対応が進みます。

  1. 初回相談:事件の詳細を弁護士に説明し、今後の方針を相談します。
  2. 受任手続:弁護を正式に依頼し、必要書類を準備します。
  3. 事実関係の調査:弁護士が警察や検察から情報を収集し、事件の全容を把握します。
  4. 弁護方針の決定:調査結果に基づいて、被疑者段階から少年審判を見据えた最適な弁護方針を決定します。
  5. 捜査対応:取り調べへの立ち会いや意見書の提出など、捜査段階での対応を行います。
  6. 審判対応:家庭裁判所での審判に向けた準備と出頭を行います。
  7. 処分後の対応:状況に応じて、処分決定に対する異議申立て又は取消申立て等の対応を行います。

7. 未成年者が逮捕された場合の解決事例 

少年事件の解決事例をいくつか紹介します。

7-1. 事例1:傷害事件

暴走族を抜ける仲間を、集団で暴行したということで傷害事件で逮捕された事案です。ご両親からご依頼があり、逮捕直後から担当しました。逮捕後すぐに面会に行って状況を把握することができたので、早い段階で捜査方針をアドバイスすることができました。

結果として、重傷を負った被害者1名との関係(否認)では不起訴処分となり、もう1名の被害者との関係(認め)では示談を成立させることができました。家裁送致後に観護措置(少年鑑別所への送致)が執られてしまいましたが、すぐに不服申し立てをしたところ、別の裁判官に観護措置を取り消してもらうことができましたので、少年は家族のもとに帰ることができました。少年の両親と連携を取って環境調整をし、少年とも面談を繰り返して事件への向き合いを深めていきました。少年審判を経た結果、無事に不処分となりました。

7-2. 事例2:殺人未遂事件

同級生同士の喧嘩から発展して、割れたビール瓶で相手の首付近を刺してしまったことで殺人未遂事件とされた事案でした。少年は殺意はないと主張していました(否認)。

捜査段階から一貫して殺意を否認し、少年審判でもその旨を主張しましたが、未必の故意が認められるとして殺意は認定されてしまいました。しかし、行為に至る背景事情や家庭環境など、少年側の主張も一定程度考慮された結果、長期間にわたって少年院に送致されることは回避できました。

7-3. 事例3:窃盗事件

さまざまな本屋で万引きを繰り返していた少年が逮捕された事案です。ご両親からの依頼を受け、担当することになりました。

本人も窃盗を認め、本屋に謝罪をしたいと述べていました。ご両親の協力を得て、弁護人を介して、すべての本屋と示談を成立させることができました。弁護人は警察の取り調べにも同行し、少年の話しやすい環境を整えて供述調書を作成しました。両親とも面談を繰り返して家庭環境を整え、家庭裁判所調査官とも意見交換をしていった結果、少年審判では不処分とすることができました。

8. 未成年者の犯罪でお悩みの場合はJIN国際刑事法律事務所にご相談ください 

未成年者の犯罪は、少年の将来に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切な対応と支援があれば、疑いを晴らすこと、または、更生の機会を得ることができます。

刑事事件、特に少年事件に精通した弁護士に相談することで、以下のような利点があります:

  1. 法的手続きの正確な理解と対応
  2. 少年の権利を最大限に保護
  3. 更生と社会復帰を見据えた方針の策定

お子様が犯罪に巻き込まれてしまった場合、一人で抱え込まずに、専門家に相談することが重要です。早期の対応がより良い結果につながります。

JIN国際刑事法律事務所では、経験豊富な弁護士が24時間体制でご相談を承っております。未成年者の犯罪に関するお悩みがございましたら、お気軽にご連絡ください。お子様の未来を守るため、事件解決のみではなく、本人の将来への影響も配慮しつつ最善の努力を尽くしてまいります。

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